それは、三年間同じクラスの、浅田君だった。


「これ」


とだけ言って、浅田君はあたしにノートを渡した。


「あ、ありがとう」


あたしは、なるべく信者達に向ける笑顔と同じ笑顔でお礼を言ったが、なんだか今日はうまく笑えない。


「最近ぼーっとしているな。
何か考え事でもしていたのか?」


浅田君が言う。

図星だったので、あたしは言葉が出なかった。


浅田君は他の生徒とは違い、全然あたしに見惚れないし、何を考えているのかわからないのに、ズバリ本当のことを当ててしまうから苦手だ。


そういえば、浅田君といえば……この前、あたしに違和感があるって言っていたっけ。

あの違和感のこと、まだわかっていない。