灰被り姫の城

「大丈夫?」

「こんなの気にしちゃダメだよ?」


何人かの女子が、あたしを慰めてくれた。


「うん、大丈夫だよ。ありがとう」


そう言って、あたしはわざと、少し悲しそうな笑顔をつくった。


ざわざわとする生徒達の中で、一人だけ気持ち悪い笑みを浮かべている人がいた。

例の、キリンちゃんだ。


あたしが悲しそうにしているのを見て、糸みたいに細い目をさらに細くさせて、ほくそ笑んでいる。


馬鹿だなあ。

これから泣くのは、アンタだっていうのに。


教室に着くと、靴箱の噂を聞いたクラスメート達が、あたしに声をかけてくれた。

特に、里香は


「大丈夫?本当に平気?

もし、もっとひどいことがあったら、絶対私に相談してね。絶対よ」


と、他の子よりも心配してくれた。