灰被り姫の城

次の日の朝、あたしは新しく暗証番号を設定した靴箱を開けると、そこに紙クズはなかった。

まあ、暗証番号を変えたのだから、当たり前か。


あのキリンちゃんも、さすがに新しい暗証番号はわかるまい。

あたしの靴箱の暗証番号が変わって、さぞかし驚いたことだろう。


そして、放課後。


あたしは、背後に熱い視線を感じた。

それは、あの、例のキリンちゃんからのものだった。

やっぱり、犯人はキリンちゃんだったみたいね。


どうやらキリンちゃんは、あたしの新しい暗証番号を、盗み見したいみたい。

そして、また紙クズを入れようとしているのだろう。


いいよ、見たきゃ見れば?

と心の中で呟きながら、あたしはキリンちゃんから見えやすいよう、わざと暗証番号を入れた。


それを見てキリンちゃんは、制服の胸ポケットから手帳を取り出し、ペンで何かを書く。

おそらく、あたしの暗証番号をメモしているのだろう。