私がこの街を去ることになったのは、新しいまた街で新しく生活を始めたいから。

高校三年生のこの時期で転校というのは、なかなか困難なのだけど、学校側と話し合ってなんとか取り合ってもらえた。

先生たちは"此処まで良くしてやったのに、今更手放すのか"とあまりいい顔はしなかったけれど。


今回のことが学校中に知れ渡る前に、此処を去りたいのだ。


それと、もう一つの理由は、

湊の近くにはいられないから。


この街を出ることをお姉ちゃんに提案されたとき、私は迷わず賛成した。

だって、湊と実波さんを見てられない。

忘れようとしても、掻き消そうとしても、どうやったって好きなんだもん。

私は応援すべきなんだろうと、応援しようとしてるけど、無理なんだもん。

近くにいたら不純な気持ちになってしまうから。

私は、近くにいられない。