私に友達がいなかった訳じゃないんです。

《いない》って自分に言い聞かせてきたんだって。

周りは「お昼一緒に食べよう?」とか「移動教室一緒にいこー!」と話しかけてくれた。けど、私に返事なんてできないからと、逃げてただけ。

前に氷雨が言ってくれたっけ‥‥

「お前は周りを見るのが下手くそ。もっと俺を頼ったりしろよなっ!」

‥‥うん。氷雨の言う通りだね‥‥



気がつくと涙が零れていた。大粒の涙で拭っても拭っても、とめどなく溢れてくる。


「海原舞白」

先生がもう1度私の名前を呼んだ。



その時は

「「はい!」」

みんなで大きな声で返事をした。
気のせいかもしれないのだけれど、その「はい!」の二文字だけ



小さな声が出た気がした。