「舞白ー、ここでいいか?」

放課後の図書室、夏休みも終わり、夏宮大きな声が響き渡る。今は5時30過ぎだろうか。図書室の貸し借りは5時までなので2人しかいない。

《うん、ありがとう》

私はニコッと笑うと夏宮は

「なんだー?彼氏だからってそんな顔されても何もしねーからな?」

と言う。

《別になにも思ってないよ》

「ぐっ‥‥そう言われればなんかグサッとくる‥‥」

アハハっと声は出ないけど笑う私に「笑うなよー」と言う。あった時より表情も読まれるようになり、話しやすくなってるらしい。逆に言うと、嘘はつけない。

「舞白。今度さ、遊びに行こうぜ!」

夏宮は夏宮だ。思いついたことはすぐ行動に起こす。あった時から変わらない。

こう言われるとこう返すだけ、

《いいよ氷雨》

もう、今の私が思うのはこれだけ


2人で図書室で笑い合う。そんな日々がずっと続けばいいのになって。





図書室には2人の心みたいな赤いもみじが舞い込んでいたのだった。