水族館についたとたん羽黒を引っ張って先に行ってしまった小春ちゃん。

「俺達もいこーぜ!」

そう言って私の手を握って進んでいく夏宮。ぐるっといろんな魚を見た後に私は立ち止まった。

「好きなの?」

私が止まったコーナーはここの水族館の名物ジュゴン。大きな体なのに食べ方が非常に可愛い。
私は夏宮にコクっと頷く。

「可愛いよな。いろんな意味で。」

「‥‥?」

ジュゴンに可愛いと言ったのだろう。けれどいろんな意味って‥‥どういうことなのだろう。

「あのさ‥‥携帯持ってる?」

《持ってるよ》

「LI○N交換しない?」

LI〇N。無料トークアプリで、弟とお兄ちゃんの分しか入っていない。こんなこと言われるのも初めてだった。

《いいの?》

「いいに決まってんだろー」

夏宮に携帯を貸してと言われたので貸すとありがとな。と返ってきた。でも、さっきまでの携帯と違う。ジュゴンのイヤホンジャックがついていた。

「今日は楽しかったし、記念だよ。これで連絡も取りやすくなるな(ニッ」

《悪いよ》

「別に俺がお前にあげたいって思っただけなんだし、もしお礼とか考えてるなら‥‥


また俺と遊びに行ってくれる?」

私はドキッとした。顔が赤くなっていくのが自分でもわかる。もちろん返した返事は

《ばーか。いいに決まってるじゃん。》

この気持ちはきっと恋だと気づいた。


どうせ片思いだけど‥‥