「じゃあ‥‥俺この本並べてくるよ」

夏宮はさっきからよそよそしい。さっきもなにか言いたげだったし‥‥

《なつみや変》

そう書くと「えー?そうかなー?」と言い出す。やっぱり変だ。

ガラガラガラー

この時間はもう貸し借りをしていない。だけど扉が音を立てて開く。

「あー!夏こんなとこにいたー!」

すっごく大きな声で夏宮を呼ぶ声。私よりかは背が高いけど160前半と言ったところか。それぐらいの元気いっぱい系男子がやって来た。

「あ、ど、どうも!」

私に気づいたのか「大声出してすいません!」と謝る彼。言っては悪いけどその言葉すら声が大きかった。

「‥‥陽向うるさい。」

その声は扉の外から聞こえた。ぴょこっと顔を覗かせていたのは私の幼馴染み羽黒。

「もー!みんな好き勝手しないでよ!」

優しい口調で怒っているのはこの学校の生徒会長。なに、この集団‥‥

「えっと、海原さんだよね?」

《はい》

「ごめんね驚かせて。生徒会長とか思うかも知れないけど今は夏宮の友達。僕の名前は湊。よろしくね(ニコッ」

生徒会長‥‥じゃなくて、湊くんは凄く優しいんです。女子からの人気も凄い。漫画で出てきそうな王子様なんて呼ぶ人もいるらしいけど、そんなのは私には興味がなかった。

「あ!俺は陽向!よろしくなー!」

ざっくりとした陽向くん。これは可愛いの部類に入る。

「‥‥羽黒。」

んー?なんで羽黒は自己紹介してるのかなー?幼馴染みだよー?

「なんでお前らがここにいるんだよー」

夏宮は仕事が終わったようでこちらに来てくれた。

《ありがとう》

「んや、力仕事は任せとけって!」

「そうだ!夏!海原さんも誘おうよ!」

「うん!それがいいよ!」

なんか、勝手に話が作られてゆく。何の話か全くわからない。

「実は僕の母さんが水族館のチケットを余らせてて良かったら見てきて欲しいというもんで6人分あって困ってるんだ」

水族館‥‥。私は水族館が大好きだった。海に住んでいる生き物はとても可愛らしい。

「海原さん行かない?もうすぐ夏休みだし記念に」

《誰がいるんですか?》

そう。知らない人は少し気まずい。そう思いながら聞いてみたら

「俺とー!」(陽向)

「俺とー」(夏宮)

「‥‥俺」(羽黒)

「僕と妹」(湊と湊の妹)

このメンバーなら‥‥


行けない事はないかも


「一緒にいかない?」

《行きたいです》

私はそう返事した。