海原side

私はちょっと意地悪をした。地図を覚えてきて。と書いたけど、実質1日で覚えられるようなものじゃない。記憶のいい私は別だけどね。

「よし!覚えりゃいいんだな?」

やる気満々の夏宮。できるかなー?絶対むりだろうなぁー

そんな顔をしていると

「子供扱いすんな。お前ねーちゃんみたい。」

ちょっと腹が立ったので叩く。

私にはお兄ちゃんがいる。一言で言うとノリの良い面白いお兄ちゃん。

《お姉さんいるの?》

そう聞くと

「え?あ、うん。うるせー意地悪なねーちゃんだけどな。」

そう言って、小さくあの姉はやばい。これまじ。

と呟く夏宮。

「お前には兄弟いねーの?」

そう聞くからさっきのお兄ちゃんのことをメモに書いた。

「お兄さんいんの!?え、めっちゃいいなぁー!俺もあんな姉より兄ちゃん欲しいもんだよ。」

そう言って笑う夏宮。こんなたわいも無い日常がずっと続けばいいのにな。

「もうそろそろ下校時刻じゃ‥‥」

そう言うとほらほら出る出るー。と私をうながす夏宮。

「あ、‥‥のさ‥‥」

彼は言葉を詰まらせた。

《なに?》

ちょっとびっくりしたけど次の彼の言葉で吹き飛ぶ。

「一緒に‥‥帰りませんか?」

え?

そ、それだけ?なのになんで‥‥

《いいよ?》

そう書くと彼は目を輝かせて「よっしゃぁー!」なんて言う。なんじゃこりゃ。

「じゃあ、行こうぜ!」

ルンルンな彼を見てると思わず笑みがこぼれるのだった。