ユニット型の施設で上の階と下の階に分かれていた。
私が配属されたのは認知症フロア。

認知症の人と接するのは初めてだった。

フロアを杖で歩く目があまり見えないおじいちゃん、背中に手を置いて歩く目の見えないおじいちゃん、

部屋で小銭を数えていて会話が成り立たないおばあちゃん、片麻痺の車椅子をこいでフロアを出てくるおじいちゃん、

床を這って出てくる歩けない筋肉の病気のおばあちゃん。サイダーが大好きな100歳のおばあちゃん。


出会ったことのない世界の人たちだった。

そして三年間この会社でお世話になることになる。