妻に、母に、そして家族になる

―――やっぱり好きだな。

目を閉じながら信濃さんに抱きしめられた日を思い出す。

彼に抱きしめてもらったのはあの日の一回きりだったけれど、この一回で私の中の信濃さんの存在が大きく変わったんだ。

ハルくんのことを含めて、とても大切で大好きな人。

出来るなら、ずっと傍にいさせて欲しい。

それからは完全に眠ってしまったらしく、次に目を覚ました時、私は自分のベットの上にいた。

しかも腕の中には信濃さんが着ていたはずのコートがある。

抱きしめて寝ていたのか、コートは皺になっている。

なぜここにいるのか。なぜ信濃さんのコートがここにあるのか。

困惑しながら、近くにあった時計を見ると短針が一の所にある。

ホテルを出た正確な時間はわからないけど、まだ日付は変わってなかったはずだ。

車の移動時間から計算すると、それほど寝てないのかな?

それにしてはカーテンの隙間から漏れる光がやけに明るいような……。

まだ覚めきっていないままベットから降り、カーテンをバッと開くと、サンサンと差し込む日差しに目を細める。