siori_side




『だあ〜〜っ‼︎


もうだめだ! 頭が痛くなる!』



頭を抱えてそう叫んだ快斗君に、呆れた様な視線を翠が突きつける。





『誰だよ、学期末テストとなんか作った野郎は!


赤点取ったら夏休みが補習で埋まるとか、鬼!』



7月の終わり。


赤点を取ったら夏休み無しの学期末テストを目前に、快斗君の悲痛な叫びが、私の家に響き渡った。



『……お前が馬鹿のなのが悪いだろ』




救いの手を伸ばしてくれない煌君に、快斗君がぶつぶつと文句を言いつづけながら問題と戦い始める。



『……俺、栞莉チャンも同じだと思ってたのに』


『私!?!?』




横目で私を見ながらそう言った快斗君に、思わず手を止めて反応する。



それって私がバカに見えるって事でしょ⁇


それは聞き捨てにならない!!



『私、快斗君ほど馬鹿じゃないからね?


ちゃんと平均点はキープしてます』



拗ねるようにそう言った私に、快斗君が少し慌てる。


そんな様子を見て笑みを浮かべ、冗談と言って笑い飛ばす。



『私も、栞莉はバカだと思っていたわ』



『同じく、俺も』




不思議そうな目で私を見ながら言った翠に、煌君が同意する。



『2人共酷いよ‼︎』





『だって、授業中大抵寝てるでしょう?』



『最近ノートを見せる頻度が多くなってるような気がするけど?』




睨みつけて反論した私に、煌君と翠の双子アタックが炸裂する。



『うっ……』




2人の言葉に、言い返す返事が見つからず、引きつった笑みを浮かべて言葉を詰まらせる。




……完敗致しました。




言葉で勝てるわけないよね、この2人に。