あの春、君と出逢ったこと




さっき、煌君に迷子になんかならないって言った後なのに。



絶対バカにされるよ。


……じゃなくて!




どこを見ても、知らない人が通り過ぎていくこの現状に、思わずため息を漏らしてしまう。



こんな時に限って、昨日寝落ちしちゃったから、携帯の充電がないし。




電話をして、連絡を取ることも難しい。



『……私、バカだ』



溜息をついて、額に手を当てる。


あのまま、ちゃんと煌君の言うことを聞いておくべきだった。




『探すしかないよね……』



目の前を通り過ぎていく人の多さにまたため息を漏らし、煌君を探すために人混みの中に入っていく。




そりゃあ、私も悪いけど?

煌君が歩くの早いって事も逸れた原因の1つだと思うんだよね、私は。



……こんな事言っても、馬鹿なこと言うなとか言ってあしらわれそうだけど。




心の中で煌君に悪態をつきながらも、人ごみに混じって、いろんな場所を探していく。





会って1時間もしてないのに逸れるって、私、どれだけ迷子の才能があるの。




なかなか見つからない煌君に、自分にまで悪態をついてしまった時、神社を囲む木々の間から、赤い何かが見えて、思わず立ち止まる。




『……なんだろ?』



思わずそう口に出してしまったことに気づかず、その赤い何かに向けて足を進める。





こんな所に居るはずないって思うんだけどね?

なぜか、気になってしまう。