『翠は快斗君と行かないの⁇』
準備を終えて、部屋から出ながら翠にそう聞いてみる。
『行ったわよ』
怒られるのを覚悟で聞いた翠から、まさかの返事が帰ってきて、思わず声を上げて驚いてしまった。
『そんなに驚くことかしら?』
『だって、昨日翠寝てるって言ってたから!』
私がそう抗議すると、本当のことを言うわけないでしょうと言って、翠が先に外に出る。
『えー……教えてくれてもいいのに』
そんな翠の後に続いて、鍵を閉めながらそう言うと、バレてるなんて知らなかったもの、と翠が呟いた。
『じゃあ、翠、ありがとね!』
カバンも持ってない方の手を大きく振ってそう言うと、なぜか翠が口角を上げた。
『煌と、頑張ってきなさいよ』
その言葉に肩をピクリとあげると、その反応を見た翠が、楽しそうに笑った。
『期待してるわ』
『そう言われても……て、はやっ』
翠の言葉に返そうとした私の言葉が言い終える前に、翠が目の前にいなかった事に驚く。
……もしかして、今日翠は快斗君と遊ぶ約束があったのかな?
だから急いでたのかも、なんて思いながら、携帯で時間を確認する。
今の時間が5時20分で、ここから歩いて30分くらいに着くから……良いぐらいだよね。
歩いて向かうからムートンブーツで良かった、なんて考えながら、待ち合わせの場所に向かって歩く。
翠が選んでくれたから、疑うわけじゃないけど。
……この格好、変じゃないよね?
目的地が近くなるにつれて、周りの人の数も増えていって、それと同時に私の不安も高まっていく。
神社に着くと、さらに人が多くなって。
クリスマスの時と同じように、腕を組んでいるカップルやら、手を繋いでいるカップルに囲まれる。



