あの春、君と出逢ったこと




『琹莉、そろそろ時間じゃないかしら?』



翠の言葉に時計を見ると、短針が4を指していて、慌てて準備を始める。



『翠〜ありがとねー‼︎

あと、快斗君と幸せにね!』




ぎゅっと翠に抱きつくと、受け止めた翠が私の言葉で固まってしまう。


『……翠?』


固まったまま動かない翠を突きながら、翠の顔の前で思いっきり手を振る。




長い間そうするも、暫く固まっていた翠が、我に返ったのか、早口で私の言葉に返す。




『どうしてそれを知ってるの?』



そんな翠に、さっきのお返しにニヤッと笑ってみせる。





『分かりやすいから、2人とも』



クリスマスに快斗君が翠に告白して。



あの日から5日たっただけだけど、私も煌君も気づいてるし。



快斗君に、翠を泣かせないでって言った事は、翠には内緒にしてる。



多分、今が冬休みじゃなかったら、クラスのみんな気づいたと思うけどね?





『……そう』




『うん。
翠も快斗君も、幸せオーラ全開だった』




少し落ち込んだ風の翠にそう声をかけると、翠の顔が赤くなっていく。




『最近、照れてる翠をよく見るなー』




そう言って翠をいじると、ギロッと睨まれ、慌てて両手で口を押さえる。



『速く煌のところに行ってきなさい』



そんな私を見て、そう言い放った翠に、急いで準備を終わらせる。



……そう言う翠は、快斗君と初詣行かないのかな?



私が1番気になってるのはそこなんだけどな。





チラッと翠を脇目見ると、翠と目が合って、慌てて見ていないふりをする。




『変なこと考えないで、手を動かしなさい』



そう言った翠の声を聞けば、案の定、ばれていたことを察する。