結羽side

「うわ、雨すごい...」

今日傘持ってきてないの、どうしよ...

天気予報晴れやったやん!!最悪や...


「んなら雨降ってるからみんなきおつけて帰れよー、じゃ、かいさーん」

先生の声でみんながいっせいに動き出す。

はぁ、もうどうしよ。

「寺田、かえるよ」

「うん。」

「寺田、雨降ると大人しくなんの?」

「そう言うわけやないけど、今日傘持っとらんのよ

「俺もない」

二人共ずぶ濡れ確定やん!

「俺の家学校に近いから、雨宿りしてく?」

「でも悪いし...」

「大丈夫、親いないし」

「高橋くんがいいなら!」

「家までは濡れるけど我慢してね。」

そう言って高橋くんはゴツめの腕時計のついた左手を私に差し出す。

私は何も言わずにその手を握って、一緒に大雨の中走った。