-花恋side-

君と出会ったのは、そう、まだ残暑が残る3年生棟の暑い教室。

「あっつい」



私、宮野花恋(みやの かれん)は苦手な暑さに苦痛をいだきながら、日の当たる廊下を進んでいた。


階段を下り、真っ直ぐ進むと私の目的地につく。


今日は、応援団の打ち合わせで3年生棟に来ている。


まだ1年生だった私は、教室の前に立つことで精一杯だった。


勇気を振り絞って


「失礼します。」

と言った。


視線が私の方に向く。


ドキドキしながら…--

1歩前に出る。



そう、まだなにも知らない私はただ一生懸命前に進んでた。



教室に入ると、むわっとした空気が私を襲った。


「ぁっつ」


耐えきれず声に出てしまった。


なんで、クーラーついてないのよ。

と思いながら重い足を動かしながら教室に入った。


入ったとき、後ろのロッカーに寄りかかっている人が目に止まった。


その人はすらっとしていてメガネをかけていてあんまり目立つタイプではなさそうだけど……

私は目が離せなかった。


「かのんちゃーん?」

『あ、はいっ!』

「どーかした?」

『いや、なんでもない、です」

「ん、そう。こっち来てこれ手伝って!」

「はいっ」


あの、先輩なんて言うんだろ。


なんか、すごいドキドキするな…