ホールは広くて、真ん中より少し右寄りに大きなピアノが置いてある。
何を話そうかと考えていると、入り口からぞくぞくと園児たちが先生たちに連れられて入場してきた。
そして、興味津々のキラキラした目でピアノの横に立つ私を見て行く。
いつの間にか隣から居なくなっていた光代先生は、ゆり組さんと思わしき集団の中にいた。
「よーし、みなさん集まったかな?」
園長先生のその問いに、先生たちが『たんぽぽ組さん集まりましたー』『桃組も大丈夫です』と報告していく。
いよいよだな。緊張する。
心臓がドキドキと波打って、握った拳には汗が滲んでいた。
今日から新しくみんなのお世話をしてくれる先生を紹介します、と園長先生が私に振ると60人近い園児たちが一斉にこちらを向いた。
うぅ、緊張する。でも、やるのよ菖蒲。