隣の部屋と格差社会。



少し早い時間だからなのか、エレベーターには誰も乗っていない。


二人っきりのエレベーター。


男の人と密室で二人きり。やっぱり慣れない。緊張するな。


でも、佐渡さんが親切だと分かったためか警戒心は1ミリも持たなかった。


「今から仕事か?」

「はい!」

「へえ。そういえば、仕事は何をしてるんだ。」

「保育士です。今日が初出勤なんです!」


へえ、と驚いたように佐渡さんが頷いたと同時に無事に1階に着いたエレベーターを降り、エントランスを通り抜ける。


自動ドアをくぐって外に出ると、綺麗な青空が広がっている。

爽やかな春の風は新しい門出の日にぴったりだ。



「じゃあな、頑張れよ。」


片手を上げ、あまり見せない笑顔でそう言った佐渡さんは仕事に向かうため背中を向け歩き出した。


「あ、あの!」


颯爽と仕事へ向かう足を止めてしまうこと、お許しください。