隣の部屋と格差社会。




「せめて保育園にだけは連絡させてください。これ以上迷惑が掛かるのは嫌なの。」

「連絡ならした。しばらく休職させてくれと。」

「休職?」


てっきり辞めさせられたと思っていたのに。

休職って…。正直、拍子抜けだ。


「長門君はお前が働いてもいいと言ってくれているんだ。」

「え?」

「子供ができるまでは仕事をしてもいいと、そう言ってるんだ。
こんないい旦那はいないぞ、菖蒲。」


ふと隣に立っている長門さんを見ると、目があった。


長門さんは、穏やかで優しそうな表情で私を見ている。


さっきのことがなかったら、ただただ優しい人なんだと思っていたかもしれない。

でも、車内での様子を見てしまったから、なんだか長門さんの顔に野心とかそういうものが見え始めてしまう。