隣の部屋と格差社会。




「幸せというものを望むことにしたんだ。」


突然の発言にはっとして目を見開いた。


『佐渡さんも幸せを望んでください!』

それは、私が佐渡さんに願ったこと。


私が言ったこと、ちゃんと考えてくれたんだ…。

良かった。あの日、私が伝えたかったことはきちんと伝わっていたみたいだ。


「だから、幸せにしてくれよ。」

「え?」


安堵していたら、なんだかおかしなことを言われた気がする。

幸せにしてくれ?
今、そんなことを言った?


え、それって…。


「私が、佐渡さんを?」

「ああ。」


ああ、って…。
ん?あれ、よく分からない。


「俺のこと好きなんだろう?」


そう試すように言った言葉に身体が跳ねて、その拍子に佐渡さんの手が私の腕から離れた。