「でもね、そんな考え方されたら私も恵吾も辛いの。」

「悪い。」

「謝って欲しいんじゃなくてっ…。」


とうとう涙目になって訴える美奈子の組まれた手はテーブルの上で震えている。



「私は、竜一君に幸せを望んで欲しい。」



その言葉は、前にも聞いたことがあって、夕陽の綺麗な公園で拳を握り締めながら言う彼女の姿と重なった。


「恵吾が死んで、そりゃ悲しいこともたくさんあったけど、恵美と二人で暮らしてる今はすごくすごく幸せなの。
それなのに、竜一君だけが責任感じて生きて行こうとしてるなんておかしいよ。」

「悪い。」

「だから謝って欲しいわけじゃ、」

「そんな風に思わせて悪かった。」


美奈子の言葉を遮ってそう言うと、美奈子は驚いた表情で次の言葉を待っていた。