見合いは会社近くのホテルで行うと言っていた秘書の話を思い出し、目ぼしいホテルの前の路肩のパーキングに車を停め、待つこと約3時間。
俺はなにをやってるんだ。
彼女はただの隣人。
確かに、親しいとは思うが、さすがに家のための見合い話に首を突っ込めるほどの立ち位置にいるわけではない。
ただ、気づいたら車を飛ばしている自分が居た。
至極落ち着かない気持ちで彼女が出てくるのを待っている自分が居る。
見合いが行われているであろう目の前のホテルは、入ったこともないような高級ホテル。
その外観からも、彼女と俺が生きてきた世界の違いが分かる。
家に居たころは、よくこんなホテルに泊まったりもしたんだろうか。
自分の知らない彼女にまた苛立ちを感じる。

