隣の部屋と格差社会。




梅雨が始まり鬱陶しい雨が続いてうんざりしていたある日。


煙草を吸いにバルコニーへと出ると、浮かない顔をするらしくない彼女の姿を見つけた。


仕事で失敗をしたという彼女は、細い肩を落として涙を堪える姿はどこか儚げで。


話をすることで、少しでも楽になれるならと思って聞いてみると、上手い励ましの言葉を与えられたわけでもないのに、会話をしてるうち、いつの間にか彼女は立ち直っていた。


そんな彼女になかなか根性があるな、と素直に思った。


入庁9年目、一応係長という役職でたくさんの後輩を持っているが、最近は、一回失敗し注意をすると、泣き出し次の日出勤してこなくなるやつも少なくない。


ただのお嬢様じゃない。


彼女の芯の強さを改めて感じた。


俺なんかよりも、よっぽど強い。