隣の部屋と格差社会。




「そういえば、この公園でなにしてたんだ?」

「え?」

「結構長い間ここに居ただろう?」


20分近くは居たと答えそうになって止めた。

だって、


「見てたんですか?」


てっきり、私が公園を出るタイミングたまたま仕事帰りの佐渡さんと出くわしたものだと思ってた。

足を止め、それでも振り返らずにそう聞いた佐渡さんの表情はやっぱり分からない。


もしかして、夕陽を見ていた私を見ていた?

すぐさま返ってこない答えに、馬鹿みたいだけど期待が積もっていく。


それでも、佐渡さんはなにも語らない。


長い沈黙の中、しびれを切らし先に口を開いてしまったのは私だった。