「やっぱり好きな人がいるっていうのは幸せだよ。自分を好きでいてくれる人がいるっていうのもね。

だから、すごく勝手なお願いだって分かってるけど、菖蒲先生には頑張って欲しいの。」

「頑張るって…。」

「竜一君を振り向かせて。」


大きな目をきらきらと輝かせながら、割と無茶なことを言う美奈子さん。

美奈子さん、忘れてしまいましたか?


「私、振られたばかりなんですよ?」


振り向かせるなんて、出来るわけない。


「竜一君は、菖蒲先生のことが嫌いで振ったわけじゃないよ。」


美奈子さんは真っ直ぐじっと見つめてそういうけど、きっと根拠はないんだろうな。