隣の部屋と格差社会。




「後から聞いたんだけど、竜一君、私に告白したことをその夜恵吾に報告しようと思ってたらしいの。けじめだからって。
竜一君は今でもその責任を感じてる。自分のせいで、自分が呼び出したせいで恵吾が死んだと思ってるのよ。」


「そんなっ、佐渡さんが悪いわけじゃ…。」


「そうなの。誰もそんなこと思ってないのに…。なのに、竜一君は自分を許せないでいるのよ。」


そんなのって…。


確かに、私が佐渡さんの立場でも自分を責めたかもしれない。


あの日に呼び出さなければ。迎えに行っていれば。

そうやって、考えても仕方のないことばかりを並べて。

自分を許せない気持ちもわかる。


でも、それでも。


佐渡さんが悪いわけじゃない。


そんな風に思って欲しくない。責めて欲しくない。


「だから、今でも竜一君は私たち親子のことを一生懸命考えてくれてる。」


辛そうにそう言う美奈子さんも、佐渡さんを責めてなんかないのに。

むしろ、佐渡さんが苦しんでいることに苦しんでいる。