それでも。
長門さんのことは考えられなくて。
それは、父に決められた相手だからとか、そういうことじゃなくて。
ただただ、佐渡さん以外の男の人のことを考えられないから。
好きだと自覚してからあまりにも日が浅くて、心が着いて行けてない。
初めて人を好きになれたんだ。
早々にこの想いを捨てることはないよね。
とりあえず、このままでいいのかな。
諦めないにしても、『守っていきたい人が居る』と言った佐渡さんに、好きになって貰う努力をすることは、今はまだ出来ないから。
よし、決めた。
自分の気持ちを大切にしよう。無理に諦めるのは止めよう。
なんて、悠長なことを考えながらマンションへと帰り始める。

