隣の部屋と格差社会。




「働いてみて、一生懸命働いてるお父さんの大変さも有難さも痛いほど分かった。でも、」


でもね。


「自分の幸せは自分で掴みたいの。」


お父さんに見つけてきて貰うものじゃない。

自分で探して、自分で掴みたい。



「だから、長門さんとは結婚できません。申し訳ありません。」



立ち上がって、深く深く頭を下げる。

お父さんに伝わって欲しい、そう思いながら下げ続けていると、沈黙を破ったのは父だった。


「勝手にしろ。ただし、私も勝手にさせてもらう。」


怒気を含んだ声に顔を上げると、厳しい顔をした父が、私に顎で出て行くように指示をした。


簡単に納得はしてくれない、か。


分かってはいたけど、父の頑なな態度に気分を落としながらレストランを後にした。