隣の部屋と格差社会。




「お父さん、私今保育園で保育士として働いてるの。」



突然口を開いた私に、赤ワインを傾けていたお父さんは目を見開き、太い眉を寄せる。


「大変なことばっかりだけど、やりがいも感じてる。独り暮らしだって大変だけど、自分の働いたお金で食材を買って、料理して。
余裕のある暮らしじゃないけど、すごく楽しいの。人生が、楽しいの。」


用意されたレールの上をただ歩いていた今までとは違う。

迷って、躓いて、立ち止まって。

一心不乱に自分の道を自分で歩いてみると、見えてなかった景色が見えてきた。


お金の大切さを知った。

働くことの厳しさ、楽しさを知った。

お米の炊き方や洗濯の仕方、電車の乗り方を知った。


ときどきご褒美に買う、コンビニのケーキの美味しさも知った。


自分が今まで、どれだけ恵まれた暮らしをしていたか思い知った。