でも今は、そのことばかりを考えはいられない。
もっと大事なことがある。
お見合い、どうしよう。
去り際に武田さんが言った台詞を思い出す。
『奥様も心配なさってますよ。』
じゃあなんで、連絡ひとつくれないの?
初任給で父と母にプレゼントを送った。
父にはネクタイを、母にはネックレスを。決して高価なものじゃないけれど、気持ちを込めたプレゼント。
お礼を期待して送ったわけじゃないけど、密かに母からの連絡を待っていたのは本当。
きっと、母は父に『連絡するな』ときつく言われているんだと思う。
昔からお父さんの言いなりだったお母さん。どんな理不尽なことも、文句ひとつ言わず黙って受け入れていた。
そんなお母さんの生き方を否定するつもりはないけど、私は。
私は、誰かの言われるがままに生きたくない。
自分で迷って、自分で悩んで生きていきたい。
やっぱり、お見合いなんてしたくない。
そのためには、逃げてばかりじゃダメだ。

