真っ暗な部屋の中に入ると、もやっとした嫌な空気にまた滅入る。
なんとなく電気を点けたくなくて、暗いままの部屋で冷蔵庫を開けた。
冷蔵庫の中には、今朝作った水出しのお茶とオレンジジュースが入っている。それと、ビールも。
バルコニーで佐渡さんが飲んでいるのを見て、なんとなく気になって買ってみたビールは勇気がなくて結局飲めていないまま、もう3週間は放置されている。
飲もうかな。
「うっ、苦い。」
うわ、本当に苦い。よくこんなの飲めるな。
調子に乗って6本入りなんて買うんじゃなかった。
こんなものを美味しいと言って飲む人の気持ちが分からない。
佐渡さんの気持ちが、分からない。
優しくしてくれたと思ったら、突き放す。
近づけたと思ったら、離れていく。
なんて。
本当は、分かってる。
佐渡さんが私のことをただの隣人としか思っていないこと。
ただ、優しい人だから親切な人だから助けてくれるだけ。
そして、その事実を認めたくない自分がいること、傷ついてる自分がいること。
そういう自分が、佐渡さんのことをどう思っているか。
でも。

