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「ふぅ。疲れたー。」
長かった手続きを終え、荷ほどきの済んでいないマンションに帰ってくるとどっと疲れが出てしまった。
マンションと言っても、どういうものが良いのか分からず、雰囲気だけで即決した『バルコニー付き1DK』というらしいこの部屋は、少し狭さは感じるがなぜだか居心地はいい。
これからはこの部屋が私のお城だ。
この部屋から出かけて、この部屋へと帰ってくる。
私が生きていく場所。
『お前は俺が選んだ相手と結婚し、この会社を支えるんだ』
大学院卒業後は、仕事をしたい。
そう言った私に、お見合い写真片手に怒り狂った数日前の父の姿を思い出す。
お父さんの会社を支える。
それは、子として当然のことなのかもしれない。
でも、親に言われるままに生きるのではない。自分の力で生きていきたいのだ。
その一歩が今日だった、はずなのに。
なんだか、最初から大転倒した気がする。