「でも、お父さんあんまり家にいないから車にも何回かしか乗ったことないです」
「そうなのか?」
「はい。海外出張が多くて、今はオーストラリアでその前はイギリスでした」
あたしのお父さんは、大きな会社に務めてる。
その中の出張の多い部所にいるらしい。
詳しいことはわからないけど、お父さんはいろんな国の言葉が話せるから
そういう部所でも不便はないって言ってた。
「寂しいか?」
「いや、全然。週に5回スカイプで顔みてるし。ぶっちゃけ、めんどくさいです」
「ははっ、それ絶対お父さんに言うなよ」
「お母さんと2人でめっちゃ言いますよ。週に5回もスカイプいらなくない?って」
「おいおい、お父さんの気持ちな」
『お前の家族、楽しそうだな』って、先生は笑ってる。
変に緊張する必要もなかったかな。普段通りで話してればいいんだよね。
「そういう先生こそ、女の人乗せたことあるんですか?」
「さぁ、どうだろうなー」
「そうやって自分のことは隠すんですね、はぁ〜、大人ってずるい」
あたしがそう言っても『大人はずるい生き物なんだよ』って誤魔化された。
「じゃあ、今彼女はいますか?」
「彼女がいるのに、女子生徒を車に乗せたりするか」
「ってことは、いないってことですね」

