たとえば、水瀬先生が生徒の誰かを好きだとしても特にきもいとかは思わない。
だけど恋してるのが小太りじいさんだったら?
めっちゃきもい。そんなの言うまでもない。
それに、学校の先生を好きになったとしても
叶わない恋。大人と子供だし、まず立場が違うし。
「水瀬に恋してる女子とかいっぱいいるけどさー、無駄なのにっていつも思う」
「む、無駄ではないんじゃない?」
「だってあいつ、自分のことかっこいいとか思ってそうじゃん。
ああいう気取ったタイプ?私は苦手」
い、…言えない…。
水瀬先生のことを好きになったとして菜摘には絶対に言えない……!!
「美桜もそう思わない?」
「お、思う!気取ってるよねあの人!」
「でしょ?」
ごめんね、先生…。本当はそんなこと思ってないのに…。
今はそう言わないと、菜摘に軽蔑した目で見られるのが怖いんです…。
「あ、次降りるよ」
「う、うん」
ダメだ、きょどるな、あたし。まずは落ち着け。
あたしはなんでこんなに動揺してるんだ?
べつに水瀬先生に恋してるわけでもなんでもないのに。
大丈夫だ、あたし。きょどる必要も水瀬先生を悪く言うのを心の中で謝る必要もないさ。

