「ん?困ってんの?」

「早く返して下さい」


坡原くんは「はい」と私の手に
本を返してくれた
その直後に先生が入ってきて
授業が始まった

授業が始まってしばらくすると
後ろの坡原くんに肩を叩かれ
振り向くと紙をわたされた

そこには不真面目な彼には似合わない
綺麗な字で


『今日も放課後 図書室行くからな』

また…来るんだ
その紙をポケットに入れ
授業に戻った

―そして放課後

図書室のドアを開ける

私は図書委員をしていて放課後よく来る
けど、この学校は図書室を
利用する人が少なくほとんど居ない
委員の仕事のカウンターは誰もやらない

先生に頼んで放課後はいつも
私がカウンターをしている
誰も居ない図書室は静かで読書や勉強を
するには打って付けだ