天宮 九音 (アマミヤ ココネ)

生きていれば俺と同い年の23歳
彼女と俺はよく遊んでいた
2人の家の近くには同い年の子が
いなくて、夕方遅くまで遊んだ


『さっちゃん!こっちだよ!』
『九音ちゃん…早いよ〜』

小さい頃は元気で明るくて
周りの人気者だった


けど彼女は15歳で亡くなった
8歳に突然 病が見つかった
田舎の小さな病院では手に負えなかった


でも彼女の父親は他界していて
母子家庭で生活も不安定だった
他の病院に移るほどのお金はなかった

そして何も出来ないまま
息を引き取った


「ねぇ九音ちゃん。俺さ今、東京で
夢だった医療に携わってるんだ
まだ見習いだけど、そのうちちゃんとした
医師になれるようにがんばるよ」


そう言って持ってきた線香を
立てて拝んだ


「皐月くん…?」

拝んでいると後ろから
髪を結んだ女の人がたっていた
九音ちゃんのお母さんだ


「お久しぶりです。おばさん」

「びっくりしたわ〜東京に行ってたと
思ってたから…」

「今日は休みをもらってお墓参りに来たんです仕事も今の所は順調ですし」



おばさんはお墓の横にある
花立てに新しい花を指した
そして線香を立てて拝んでいた

俺は邪魔をしないように
帰ろうとしたら

「ねえ皐月くん…時間あるかしら?」

「はい、ありますけど…」

「ちょっと貴方に見せたいものがあるの」