「井手君!ちょっと、井手君!」


妄想の世界へと羽を広げて飛び立った僕を呼ぶ声が。


思わず、心の中で舌打ちをしてから、外を見ていた顔を声のする方へ向けた。


そこに立っていたのは、クラス委員の高田香奈(たかだ・かな)


黒いロングの髪をフサフサと揺らしながら、僕を真っ直ぐな瞳で見てくる。


「何?」


あまりに真っ直ぐな瞳で見てくるもんだから、
視線をワザと外して素っ気ない返事で答えた。


「何?…じゃなくて、文化祭について話し合ってるんだからちゃんと聞いてよ!」


いつからそんな話題になってるんだよ。

周りのクラスメートを見ると、全員が僕の事を冷ややかな目で見ていた。