弱虫なボク~先生と生徒の距離~

足立は、僕とは正反対の男。


学校でも人気者で、明るいし、情が深く、誰からも頼りにされている。


その証拠に、足立が一言喋れば、クラスメート達は、



『そうだ、そうだ』


『やる気がないなら帰れ~!!』


と、さっきまで黙っていたのが嘘みたいに、僕に冷たい言葉を浴びせてくる。


「帰れだって…じゃあ」


僕は、どこか寂しい気持ちを胸に抱え、
高田香奈にだけ聞こえるぐらいの声量で、呟くと


「井手君…」


さっきまで、あんなに怒っていた高田香奈の面影がない。


僕の耳にちゃんとその声は届いた…けど、

僕はソレを無視。


そのまま教室をゆっくり出て行った。