弱虫なボク~先生と生徒の距離~

「今日から、歌の練習するって言ったでしょ!!」


そんなに大きい声を出さなくても…


すぐ目の前で向かい合ってるっていうのに。


高田香奈の声は、僕を通り抜け、廊下にまで響いた。


「練習?そうだっけ?」


これは、ワザとではなく、素で覚えてない


いや、聞いていなかった。


その言葉に、とうとう爆発したのか、


「アンタねぇ!!」

高田香奈は、一歩、足を僕の方に近づけてきた。


危険を察知したのか、僕の足は、自然と一歩後退する。