リビングに行くと彼女が俺のことをじっと見ていた。


「風邪引かないでね」


濡れた髪のことを言っているのだろう。
彼女は少しのことでも俺を心配して気にかけてくれる。


また彼女の愛を心の中で噛み締める俺。
バレないよう素っ気ない返事を返してしまう。


「今日は何時頃帰るの?」


「……7時ぐらい」


「わかった、夕飯の用意して待ってる」


「べつに待たなくてもいい」


前にバイトが長引き帰るのが遅くなってしまった時に彼女はずっと何も食べずに待っていたことがあった。


また彼女に辛い思いをさせたくないと思い咄嗟に出た言葉だった。