「……沙羅」 彼が私の方を見る。 「沙羅は充分しっかりしてるよ」 「そんなことないよ」 彼は私に優しい言葉をかけてくれる。 昔から彼は私が落ち込んでいる時などそっと慰めてくれていた。 「いつもありがとう璃玖斗くん、でもいつまでも甘えてられないもん」 そう言ってさっき貰ったチラシを彼に見せた。 「だから大丈夫だよ、私バイトやってみるよ」 「……だめ」 それでも彼は折れなかった。 こんな彼はじめてだ。