そんな俺の気持ちを知らない彼女は俺の後をスタスタと着いてくる。


こんな少しの行動でさえ俺は嬉しくなる。


「いってらっしゃい」


「いってくる」


笑顔で見送る彼女にまたも素っ気なく返事をしてドアを閉める。


「ふぅ〜……」


心が揺さぶられそうになったが何とか無事に出てきた。


こんな彼女にデレデレな俺の気持ちが知られたらどんなに恥ずかしいか……。


いつも心配で危なっかしくて仕方がない。


改めてバイトに向かうべく気持ちを落ち着かせる。


ふと、今日の夕飯は何かと考えた。


家に帰ったら彼女がまたいつものように笑顔で迎える様子が頭に浮かぶ。


あぁ、自然と顔がにやけそうになるのを何とか我慢した。


今日は早くバイトが終わることを願った。