「ふんっ、態度がでかいか? 今後気をつける。ジルベール。
私の名前はアレン・メルタージュだ。メルタージュの家名を使って、私と友人だといって申し込めばいい。メルタージュ家は弟に継いでもらうつもりだが、それをまだ王家に伝えてないからな。書類上、メルタージュ家の嫡子はまだ私だ。
メルタージュ家の名を出して、断る貴族はいないだろうからな。大いに使ってくれ。ジルベールの名で来たものは全て了承とハンを押す。約束しよう」

目も口も開ききっている二人、、、。


「…メ…メルタージュだと?……現ボルタージュの宰相の息子!? 侯爵家の嫡子だったのか?……冗談だろう?」

ジルベールは呆然とアレンを見つめている。エルマンは寒さを感じたのか、腕をさすっている。


「あぁ~……なんか、怖いよ~アレンがメルタージュ侯爵家の嫡子だなんて。今まで知らなくて、良かった。もう変な事が言えない………
っていうと、レオンは、、、あぁぁぁぁぁ!!! 分かった、分かった!! いやぁぁぁぁ!!! し、心臓が痛い………」

「エルマンは知っていても、変わらなさそうだがな」

冷たいアレンの言葉に、エルマンは必死に首を横に振る。


「イヤイヤ、流石に下ネタは言わないし、セックスしようとは誘わないよ」

「……あからさまな発言は、止めろ」

アレンの冷酷な態度にビクッとなったエルマンの横で、ジルベールは先ほどよりも更に深く頭を下げる。


「アレン、ありがとう!! 名は使わせてもらう。必ずボルタージュの騎士として、国に貢献しよう!!」

「ジルベールは真面目だね?? あっと、そろそろ俺は女の子と遊びに行くよ。待ち合わせまでにプレゼント用意しなくちゃだから。
俺はお高くとまった令嬢より、町娘の方がいいからね!! じゃあ、また!!」

エルマンは楽しそうに、食堂を出ていく。
アレンとジルベールは残りの食事を片付け、席を立つ。



アレンと二人、廊下を歩きながらジルベールはエルマンを思い出し、笑う。

「エルマンは本当に相変わらずだな……もっと上を目指したら良いものを……性格を除けばいい騎士なのにな」

「性格というより、性行為に対してオープンでは無ければだ。エルマンはゆる過ぎる」

「アレン…なかなか言うな……。
なぁ……あの絵姿の令嬢は、王女だろう??色々、その…失礼を言ったな…悪かった」

「何故謝るんだ?」

「王女の否定はなしか……。謝ったのは、王女の…その、身体的な事に口を出したからだ。
あの絵姿が王女なら、やはりレオンが王太子か……。昨日アレンが部屋に戻ってから、ずーーーっと彼女の自慢話で、噂に聞く以上の溺愛ぶりだった。
……お前達は、危ない橋を渡るのが好きなのか? 荒くれ騎士団によく入団したもんだ……。
後な、アレン……王女への恋慕。隠しているつもりなら、徹底的に隠せよ。
エルマンもレオンもまだ気づいてないが、お前の態度はすぐに分かる。
さっき王女の話をしていた時、色欲を含んだ男の顔になっていた。健康的な男として考えない、なんてことは無理だが、長く側に居たいなら、あぁいう顔はやめた方がいい。
お前が護衛騎士になったら、王女の婿ライバルは一掃されるだろう。
それまでポーカーフェイスを練習しておくべきだな。いちいち王女に欲情していたら、身が持たないぞ」

ジルベールの核心を突く発言に、呆然とし、アレンの顔に赤みが出る。
それを隠すため掌で口元を隠すと、あまり聞かないジルベールの笑い声があたりに響く。