「でも、どうしても一人になりたくない。お願い」
「・・・・・・」
ホテルの前でシャツの袖を掴んだままの押し問答。
かなり目立つ。
そんなことができてしまうくらい、私は余裕をなくしていた。
体に残る真幸の余韻が、私を追いつめているのかもしれない。
「僕の泊まってるホテルに来る?」
困った声色のままトモ君はそう提案した。
「芽実ちゃんのホテルはシングルでしょ?そこだと僕は入れない。僕はさっき慌てて予約入れたからダブルの部屋しか取れなかったんだ。そこを2名利用に変更してもらう。それでいい?」
シングルルームのこととか、今日が土曜日だったこととか、全く頭になかった。
ただただ、トモ君から離れたくなかった。
私は泊まっていたホテルをチェックアウトして、トモ君と再びタクシーに乗った。



