夢で会いたい


「トモ君、かっこよく写ってたね」

「はあ?美弥子さんサングラスしたまま見たの?あれがかっこいいっていうなら新聞のテレビ欄の方が数百倍かっこいいって!」

「なによ、そんなプリプリして。焼きもち?」

「誰が誰に何のために焼きもち焼くっていうの?あ、お餅焼いてこようーっと。美弥子さん何個食べる?」

「2個」

「了解~」

図らずも餅を焼くことになってしまった。


「賞を取ったら付き合って」なんて言っておきながら、あんなかわいい子とウキウキ仕事してるんじゃないの。

リランちゃんのお尻が〈エロ尻〉だったかどうかは、座った写真じゃ確認できなかったけど、今度歌の途中でターンをしたらチェックしておこう。


ふと食器棚のガラスに映る自分の姿が目に入った。

店のユニフォームとしてはデニムにスニーカーという規定しかない。
その私服に店名の入ったエプロンをするだけだ。
だから私はいつもデニムスタイルで出勤して、エプロンだけつけていた。

はっきりと見えないながら、身体のラインが崩れてきた気がする。

やっぱり人の目にさらされないとダメになるなあ。
明日からデニムはバッグに入れて、行き帰りはスカートにしよう。
これから婚活に励む身なのだから。
脚は私の唯一の武器。


目を離している隙にお餅はすっかり焼けていた。

おっと、焼けた焼けた。
ちょっと焦げるくらいしっかり焼けた!