こいつが米農家だっていうことと、このおにぎりとが全然結びついていなかった。
これまで付き合った人の中には料理好きの人もいて、手料理をふるまってもらったこともあったけど、「白米作りました」なんてもう次元が違う。
おにぎりが重くなった気がする。
あれ?こっちに来てから基本ご飯食だったから、かなりのお米を食べているはずだ。
ということは、私の体の何パーセントかは、こいつの作った米でできているということ!?
私の体をこいつが作っているということ!?
・・・エロい!!
いやいやいやいや、考えすぎ考えすぎ。
でも、家庭菜園で作ったトマトやキャベツをもらうのと違って、お米ってグッと生活の中心に入り込まれた感じ。
「あ、余ったやつは置いていくから!タッパー返すのはいつでもいいって。またどうせうちに来るでしょ?」
一人で勝手に焦って無理矢理話題を変えた。
「そのことなんだけど、ごめん芽実ちゃん。明日から送り迎えできそうにないんだ」
「どうして?」
「実は、締め切りがギリギリで。ありがたいことにいくつか仕事が入ったから、ちょっと厳しいんだ。だからしばらくはごめんね」
元々何かの約束をしていたわけではないから、頼っていい相手じゃないのだ。
少し気持ちが落ち込むのは、通勤が面倒臭くなるから。
それだけ。
「私のことは気にしなくていいよ。そもそも最初から頼んでないし!」
私の可愛げのない返事にも、彼はいつもと同じように笑っていた。
目だけ少し寂しそうにして。



