そこはすっきりと片付いた、まるで生活感のない部屋。
「・・・・・・ここ、刑務所?」
今時珍しい畳の8畳一間には小さなテーブルがひとつと座布団。
隅にはきちっと畳まれた蒲団一式。
あとは小さな反射式ストーブがひとつきり。
テレビもソファーもカラーボックスひとつない。
そこに作業着姿の彼は、あたかも〈おつとめ〉から帰ってきたかのようだ。
「刑務所だったら芽実ちゃんを呼ぶはずないじゃない。ここに座って。今用意するね」
ひとつしかない座布団を差し出されて、遠慮なく座った。
よく見るとテーブルの横にはいくつか配線が転がっていて、持ち運んているバッグからはノートパソコンがはみ出していた。
ここにパソコンをつないで執筆活動をしているのだろう。
資料らしきものも一切見当たらないけど、押入にでも突っ込んだのかな?
閉められたふすまの隙間に、冊子が挟まっている。
「なになに?『エロ尻学園』ほー、これはこれはいい作品が書けそうな資料だねー」
「うわああああああああああ!!!!」
キッチンにいたはずのトモ君がどうダイブしたのか私の手から華麗に雑誌を奪っていった。
「芽実ちゃん、もう少し動揺してよ」
「うーん。私、弟がいるからね。でもここが刑務所じゃないってことはよくわかった」
真っ赤な顔をしてトモ君は『エロ尻学園』をぎゅうぎゅうと押入の奥に押し込んだ。



