だって、相手は涼くんの弟で、航の親友。
それに、頼くんは私が涼くんを好きだってこと知ってるはずだよね!?


な、なのに……


キスなんて!!!


「あ、あの……ちょ、よよよ頼くん!」


フワッと唇めがけて近付く気配がして、思わずギュッとキツく目を閉じる。


心臓はバクバク壊れちゃいそうなくらい鳴り響いて、どうやったら元に戻るのか分からないくらい高鳴る。


「フッ、……ククッ」

「え……」


絶対にキスされるんだって思った。のに。


キスの代わりに降ってきたのは、頼くんのおかしそうな、噛み殺したような笑い。


あれ?


なんで?キスは?


あと少しで触れる、そんな距離まで迫った頼くんの顔は、触れることなく去っていく。


「なに、期待した?」

「っ!」


最悪だ。
完全にからかわれただけ。


気付いた時には恥ずかしさから真っ赤に染まった私の顔。熱を持ってボーボー熱い。


「よ!頼くん!!年上をからかって遊んだらダメって教わらなかったの!?」

「ハッ、年上?ならもっと、お姉さんらしいとこ見せてみろよ。花さん?」


ムッッカーーー!!

頼くんって、前から思ってたけど。
本当に本当に本当に、生意気だっ!!