どうやら航は、"みわ先輩"が作ったクッキーをご所望だったらしい。
……残念。
これは私が涼くんにあげるために、心を込めて作ったクッキーです。
「なによ、その残念そうな顔は!」
「いや!普通に残念だろ?みわ先輩も『余ったから航くんにもあげる』って言ってたし。"も"ってことは、俺以外にもやるんだろ?」
この世の終わりだとでも言いたげに、オーバーリアクションでダメージを受ける航。
なんだ、航も美和子ちゃんのこと大好きじゃん。案外いいコンビだ。
……にしても、美和子ちゃんってば。
ツンデレなんだから!航にしかあげないくせに、素直じゃないな〜。
「とにかく、味の保証は私がする」
ドヤッと腰に手を当て、2人に向けて白い歯を見せれば、頼くんが意地悪く口角を上げた。
「じゃ。家で美味しくいただく」
「うん!あ、でも!……頼くん!」
涼くんの前で食べるのは、やめて欲しい。
言いかけて、隣にいる航をちらりとみればまだダメージから立ち直っていないらしく、心ここに在らず状態。


